日本歯科医師会はレセプトのオンライン請求は手挙げ方式で行うべきであると主張する。
平成18年4月10日付で厚生労働省より「療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の一部を改正する省令」が公布された。
これにより、歯科においては平成23年4月1日より診療報酬の請求はオンラインによる請求のみに限定された。
すなわち、オンライン請求に対応できない歯科医療機関は、平成23年度より保険診療の請求ができなくなり、実質的に保険診療ができなくなる。
【歯科】平成18年度19年度20年度21年度22年度23年度〜@レセコン有Aレセコン無Bレセコン無+少数該当+既設 「レセコン有」とは、レセプト作成業務を電算化している場合をいう。 「少数該当」とは、月間平均請求件数が、歯科で50件以下の場合
【レセプトコンピュータ】
レセプトのオンライン請求には、レセプトを作成するコンピューター(以下レセコン)が不可欠である。レセコンの導入には一般的なもので約300万円程度かかり、小規模の診療所が多い歯科では導入が困難である。
【レセプト電算処理と試行的オンライン】
オンライン請求を行うためには、レセプトをCD、FD等で電子的に請求するシステム(レセプト電算処理システム)が必要である。現在、歯科においてはレセプト電算処理システムは未稼働であり、レセコンを導入している歯科医療機関でも紙に印刷して審査支払機関に提出している。未だ電算処理に必要なコード、記録条件等を開発している段階である(平成21年頃歯科レセ電が稼動予定)。
医科においては平成9年から、調剤は平成13年よりレセプト電算処理が手挙げ方式で行われている。また平成18年度より試行的オンライン請求が医科・調剤で行われている。【省令改正の必要性】
前述のとおり、歯科診療所においては高額なレセコンの導入が進まず、レセプト電算処理システムが未稼働の状態である。この現状を鑑みると、平成23年度からのレセプトオンライン請求義務化は、対応できない歯科医療機関に大きな混乱をもたらし、地域歯科医療の崩壊を招く恐れがある。
これらの事情から日本歯科医師会としては、省令を改正し、レセプトオンライン義務化を見直す必要があると考える。レセプトのオンライン請求は一律義務化ではなく、希望する医療機関を対象に行う「手挙げ方式」を求める。
【歯科医療機関のIT化推進について】
レセプトオンライン義務化については上記のとおりであるが、本会は国民への良質な歯科医療の提供及び患者の利益に繋がるような真に必要な医療分野のIT化は推進すべきであると考えている。
そのためにはまず医療機関における情報インフラの整備が不可欠である。しかし小規模の診療所が多い歯科医療機関ではコスト面、人材面からも特に情報化が進みにくい状況である。「医療のIT化に係るコスト報告書」(厚生労働省保険局)の結果を踏まえ、IT化を推進するにあたっては、国による財政負担、税制面での優遇措置、診療報酬上の十分なインセンティブ等が与えられるよう求める。
【オンライン化に伴う諸問題】
レセプトのオンライン化は以下のような諸問題を内包している。本会としては次のとおり考える。
・ レセプトデータの収集・分析、民間活用
レセプトデータは診療報酬請求の為に提出される、医療情報を多く含む個人情報である。したがってその収集については目的を明確化し、確実なる個人情報保護と情報漏洩防止がなされるべきである。
レセプトデータの分析や利用に関しては医療保険制度において医療の質の向上に明らかに寄与する場合に活用されるべきで単純な医療費抑制の目的で利用されることがあってはならない。レセプト情報と健診情報とのリンク、突合についてもその有益性や個人情報保護について慎重に検討する必要がある。また、疫学的、学術的研究への活用については過去の事例を鑑みても情報漏洩、目的外使用等の可能も高く、厳しい罰則を含む取り扱いルールの制定が必要不可欠である。
民間でのレセプトデータ活用は営利目的使用、目的外使用、情報漏洩等さまざまな問題点が存在し、認められない。
・ 歯科診療における裁量権の確保
疾病及び患者の特性等を考慮した歯科医学にもとづく歯科医師の裁量権は最大限尊重すべきであり、適切な歯科医療供給による国民の健康に寄与するものであると考える。審査支払機関や保険者による機械審査やデータを活用した画一的な審査は容認できるものではない。また、審査支払機関における受付・事務点検のロジック、保険者における点検ロジック等の作成、更新にあたっては医療提供者、審査機関、保険者の三者より構成されるレセプト点検ロジック検討委員会(仮称)が携わり、内容については広く公開するよう求める。

